これからの高齢化社会に欠かせない訪問歯科

「超高齢化社会」と言われるように、日本では年々高齢化が進み、病院や施設で看護・介護を受けるお年寄りが増えています。そんななか、高齢者の方が日頃受ける健康サポートとして、口腔ケアは二の次となってしまいがちなのが現状です。それは、「口腔内の疾患が命に関わることもある」という認識が薄いからではないでしょうか?

しかし、口腔ケアを怠ると、以下のように重大な全身疾患を招いてしまうことがあるのです。高齢化社会の今だからこそ、訪問歯科の重要性が増しています。長期療養病院や老人介護施設、サナトリウムや障害者施設を運営する医療・介護事業者のみなさま、患者様・入居者様の健康を守るために、ぜひ訪問歯科をご検討ください。

肺炎の脅威

主な死因別死亡数の割合

肺炎は、日本人が死亡する原因の第4位。その内訳を年齢別でみると以下のようになります。

年齢別・肺炎による死亡原因の順位
90歳以上 第1位
85~89歳 第2位
80~84歳 第3位
全年齢 第4位

高齢になればなるほど、肺炎で死亡する方が増加していることがわかります。そして、高齢者の肺炎の原因は、「誤嚥(ごえん)性肺炎」が多くを占めています。

通常、食事の際には、食べ物や飲み物は食道を通って胃の中に入ります。しかし時に、それらが誤って気管に入り込み、肺に向かってしまう「誤嚥」を起こすことがあります。誤嚥性肺炎とは、細菌が混ざっただ液を誤嚥することによって発症する病気です。

誤嚥は、病気や加齢によって飲み込んだり咳をしたりする機能が弱まってしまうことで、より起こりやすくなります。さらに白血球の力が低下していると、細菌を排除しにくくなり、気管支や肺で細菌が増殖して、肺炎を引き起こしてしまうのです。

誤嚥を起こしやすいお年寄りの方、病気中の方は特に、口腔内を常にきれいに保つことが重要です。口腔ケアが行き届いていれば、だ液に細菌が混ざる量も少なくなり、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクも低下します。

免疫機能を向上させるための口腔ケア

きちんと口腔ケアをおこなうと、口腔内や全身のさまざまな機能を向上させることができます。

肺炎の発症率を下げる
口腔内の清掃をおこなうと、細菌が減少し、誤嚥性肺炎の発症率を下げることができます。
口腔ケアを続けている期間中は、肺炎の発症率を抑えることができます。
食べる機能を回復させる
舌や唇などの口腔機能が改善され、食べる機能が回復します。食べる量が増えることで栄養状態がよくなり、免疫機能の向上につながります。
インフルエンザの発症率を下げる
栄養状態がよくなり免疫力がアップすることで、インフルエンザの発症率を下げることができます。

~お口から食べ物を摂っていない方にも、口腔ケアが大切な理由~

発症メカニズムの図式

ご自宅や施設で介護を受けられている方の中には、お口から食事を摂らない「経管栄養」の方も多くいらっしゃると思います。そのような場合、「お口から食事を摂らないから、お口の中は汚れない」と思っていませんか? 実はこの考えは、大きな間違いなのです。

食事をしていなくても、お口の中には粘膜の老廃物や痰などが溜まるため、虫歯や歯周病のリスクがなくなることはありません。また、食事をしないことでだ液の量が減り、より細菌が増加しやすい環境になるため、誤嚥性肺炎を引き起こす確率も上がってしまうのです(寝ている間にも誤嚥が起きていることがあります「不顕性誤嚥/サイレント・アスピレーション」)。

お口の健康のため、全身の健康のため、経管栄養の方も1日1回は口腔ケアをおこなうことが大切です。

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